東京実華道場の生い立ち
北海道北見市で司法保護事業を営んでいた前身の北見実華道場(昭和12年,1937年に設立)の東京出張所として,昭和17年(1942年)に現在のステップ竜岡の地に設立され,北見市より東京に帰住する人の一時宿泊所として利用されていました(令和5年3月31日に廃止)。「実華道場」の名称は,明治41年(1908年)に発布された戊申詔書の中に出てくる「華を去り,実に就く」より採られたもので,その漢語表現となる「去華就実」を当法人の設立の精神としています。去華就実の精神とは,花を捨てて実を取ること,すなわち,外見上の華美に流されることなく、堅実に自己の内面を磨くという崇高な志を意味しています。


東京実華道場の発足
昭和24年(1949年),東京出張所は法務総裁の認可を受け東京支部になりました。昭和27年,設立認可を受けた東京支部は財団法人北見実華道場から独立し,その名称を東京実華道場としました。理事長には小杉武雄氏が就任し,収容施設の他様々な事業を展開しましたが(都内5か所、荒川区、豊島区等に事業所がありました),昭和43年(1968年)には、財団法人認可を受け、財団法人東京実華道場となり,これを機に事業を文京区湯島の竜岡寮と墨田区業平の墨田補導所の2カ所の施設に集約しました。

ステップ竜岡とステップ押上
平成8年(1996年),新しい法律により財団法人から更生保護法人に組織変更になったことを機に,2か所の施設の名称をそれぞれ「ステップ竜岡」と「ステップ押上」に変更しました。「ステップ」には被保護者が自立更生する過程を一段づつ着実に進むことへの願いが込められています。地域に根差し,長きにわたり多くの人々の人生に寄り添ってきたステップ竜岡でしたが,建物の老朽化により令和5年3月31日をもって81年の歴史に幕を閉じました。令和5年4月からステップ押上と事業を統合し,その命が受け継がれました。


地域と共に
令和5年6月,ステップ押上は施設老朽化に伴い施設全面改築に着工しました。令和6年9月に竣工した新施設は,地域住民との交流の場をより一層提供するための地域交流室を整備し,AEDの配備や地域住民のための消火用具・災害用備蓄品の倉庫を提供するなど,地域と共に歩む新たな取り組みを開始しました。24時間365日対応可能な施設としての強みをいかし,町会や更生保護団体をはじめ地域に開かれた,人々の心と心を繋げる更生保護施設として歩み始めています。



